ハムストリングスの緊張と等尺性収縮後リラクセーション

 この頃、スポーツをやる人で大腿部の後ろ側が痛いと言う方が、続いて施術に来院されたので、自宅でも行える予防手段を簡単に説明したいと思います。

大腿部の後ろ側の筋肉は、大腿二頭筋と半膜様筋と半腱様筋を合わせてハムストリングスと呼ばれています。筋肉の走行は、骨盤の椅子に座るときに当たる骨(坐骨)から、膝を曲げたときの下側の骨に付着しています。

主な働きは、膝を曲げる(屈曲)する作用です。長くて丈夫な筋肉ですが、陸上などの走る競技では傷めやすい部分でもあります。

 一度傷めると癖になりやすい部分でもあるので、自宅で継続的に筋肉をケアする方法を簡単に説明いたします。

 左図を見ると筋肉の位置と走行が、イメージしやすいかなと思います。ストレッチなどで体を前に曲げていったときに太もも後ろ側でつっぱる部分がハムストリングスです。

この状態で力んでムリにストレッチをすると、筋肉の中にある長さを感じるセンサー(筋紡錘)が危険を感じてしまい、神経反射が起こり、筋肉を守るために収縮する命令を発生させてしまいます。

その結果、ストレッチで筋肉を伸ばすつもりが収縮作用が起こり、なにも変わらないか筋肉に小さな傷がつき、トリガーポイントの発生状態を作ってしまいます。

 そこで、筋肉の効果的なリラックス方法を説明します。

筋肉の作用は、収縮することことなので、伸ばす前にまず収縮させる運動を行います。

筋肉は、同じ長さ(等尺性)の収縮を続けたあとは、リラックスする作用が起こります。

手技療法では、等尺性収縮後リラクセーション(PIR)というテクニックとして行われています。

短い筋肉や複雑な関節の部分に一般の人が行うのは、難しくてムリだと思いますが、ハムストリングスは長い筋肉で分かりやすい部分なので、興味のある人は試してみると良いと思います。

 まず、仰向けに寝た状態で足を片方づつ持ち上げて可動する範囲を比べます。左右の足を比べてみて、足の上がる角度の少ないほうのハムストリングスが緊張しています。

体の硬い人は、両足上がりづらと思うので両足に行って下さい。80度まで上がる柔らかい人は、行う必要はありません。

1.上がりづらい方の足を持ち上げて、動きが止まる位置を探します。(可動制限域)

2.動きが止まった状態(位置)をキープするために踵の部分に肩を入れて支えます。

3.受者になる人は、20~30%の力で踵で肩を押し下げるように7~10秒くらい足に力を入れます。押さえている人は、足が動かないように抵抗をかけると筋肉は等尺性の収縮状態になります。

筋肉は、等尺性の収縮後にリラックスする性質があるので、うまく行うことが出来たら、足の上がる角度が少し増します。

そしたら、今度は新しい位置(可動制限域)から上記のやり方を続けて行います。
3~5回ほど行うと筋肉は緊張が溶けてリラックスしてきます。筋収縮を続けた結果として血行も良くなっているので、仕上げにストレッチを行います。

普通にただストレッチを行うよりも、可動制限域で等尺性筋収縮を行ったあとにストレッチを行った方が筋肉もリラックスしているので効果が長持ちします。

上記の説明では、2人で行う方法を解説してますが、イスや机など動かない物を利用して1人で行うことも可能です。でも、誰か手伝ってくれる人がいる場合は、交代で行った方が、やり方のコツを覚えるのが早いと思います。