指圧とマッサージの施術方向の違いについて

 この頃、指圧を受けてもマッサージを受けたと言う人がいるので、指圧とマッサージの違いについて、血液の循環を通してわかりやすく説明したいと思います。

話し言葉として、身体を刺激して貰うことをマッサージと表現することは、一般的なので仕方がないと思いますが、専門的には指圧とマッサージは大分違います。

マッサージという言葉が現在は、多様に使われているのでヨーロッパで発達した本来のマッサージの意味を一般の人には、あまり知られていないと思います。

イラストを通して、指圧とマッサージの違いを簡単に説明いたします。

 まず、始めに上記のイラストは血液の循環を簡単に表したものです。

心臓のポンプ作用で流れ出た血液は、動脈を通り手足の先まで酸素や栄養分を運び流れて行きます。
そして、毛細血管まで来た血液は、二酸化炭素や老廃物を含んだ血液と交換して、静脈を通り心臓まで戻って行きます。

途中で、老廃物は腎臓で濾過され、二酸化炭素は肺でガス交換されて新鮮な酸素を吸収します。

ここで、左図にある動脈(赤色)と静脈(青色)の違いについて説明いたします。動脈は、心臓のポンプ作用によって手足に向かって血液を流しています。

ところが、静脈は筋肉の収縮作用によって血液を循環させています。静脈管の中には、血液の逆流を防ぐために弁があります。

心臓から押し出された血液は、末梢まで流れて行き、今度は手足の筋肉の収縮作用で循環させています。

 右図は、指圧とマッサージの施術方向の違いを簡単に表したものです。

動脈の大半は、身体の深部を通っています。静脈の多くは、動脈と並行して走っていますが、その一方で皮膚のすぐ下を走る皮静脈が発達しています。

マッサージの方向は、皮静脈に沿って手足の末梢から心臓(体幹)方向へ行ないます。
指圧の方向は、逆に体幹(心臓)より手足の先の方向に行います。

マッサージは、皮膚の表面より老廃物や二酸化炭素を含んだ静脈血の循環を促進します。
指圧は、深部の筋肉のコリをほぐし、酸素や栄養素を含んだ動脈血の循環を促進します。

 右側の表に、指圧とマッサージの違いをまためてみました。

その他、一番の違いはヨーロッパで発達したマッサージは、オイルなどを使い皮膚に直接行うことです。

話し言葉としてのマッサージは、たぶん按摩の流れから来ていると思います。今どき按摩という言葉は、ほとんど聞かなくなっていますが日本式のマッサージと言えば、按摩になると思います。

指圧も海外では、ジャパニーズ・マッサージという説明の仕方をされる時もあるので、言葉の意味の違いを説明するつもりだったのですが話が細かくなるので、これ以上の説明は次の機会にします。