ストレッチと筋膜リリースの違い
ここでは、通常行われているストレッチ(ストレッチング)と徒手療法として行う、筋膜リリースの違いについて簡単に説明します。筋膜リリースという言葉が一般化されてきて、フォームローラーやテニスボールなどで身体をゆっくりほぐすことも筋膜リリースと言われるようになりましたが、ここでは手技療法としての違いを述べています。
アメリカでも手技としての筋膜リリースを説明するときに、「やさしいストレッチ」と言う場合があるからです。はじめて、筋膜リリースという言葉を聞いた人も、名前だけ知っている人もストレッチとどのように違うのか、わからないと思うので簡単にまとめました。
1.対象の違い
ストレッチの対象は、個別の筋肉です。何々筋と個別に名称がついている筋肉を主体として行います。
筋膜リリースの対象は、歪みを発生させている筋膜です。表層の筋膜と深層の筋膜になります。深層の筋膜というのは、筋肉が重なっている部分の下の方の筋肉の筋膜になります。
2.目的の違い
ストレッチは、スポーツでのケガの予防から発達したので、筋肉の柔軟性の向上(筋肉のリラクゼーション)および関節の可動域を広げることです。
筋膜リリースは、理学療法やオステオパシーの分野で行われてきたので、筋膜のねじれや癒着による線維の短縮を解放して、病的な姿勢や可動障害を改善することにあります。
3.時間の違い
ストレッチは、通常5~30ぐらい行われ、静的なストレッチの場合でも、長くて60秒を限界としています。
筋膜リリースは、コラーゲン線維の伸張する時間により最低90秒は、必要とされております。効果をだすには、2~5分程度リリースするのに必要な場合もあります。
4.その他の違い
ストレッチは、運動支点を安定させることにより対象とする個別の筋肉を伸ばします。
筋膜リリースは、筋肉を包んでいるネット状の線維を対象としているので皮膚を通して直接、制限部位を圧縮して短縮して部位を伸張します。
5.まとめ
ストレッチは、「折り曲げる」ような感じで。
筋膜リリースは、「引っ張り(又は、圧迫して)伸ばす」ような感じです。
◆ ストレッチとリリースの言葉の意味の違い
ストレッチ(stretch)とは、伸ばすこと、伸展という意味
リリース(release)とは、自由にする、解放するという意味
*上記の内容は、施術やテクニックとしての違いなので、もう少し簡単なセルフケアとしての違いは、こちらのページで説明しています。