血液循環と筋膜の歪みについて
健康について考えるときに、よく言われることは血行が良いとか悪いとか身体が冷えるとか温かいとかを言いますよね。
血液の循環が良いと、身体の末梢部分まで円滑に酸素や栄養素が供給され、体温も一定に保たれ新陳代謝が促進されます。
ここでは、血行を悪くする筋膜の歪みと血液の循環について、考えてみたいと思います。
まず、簡単に血液が循環する仕組みについて見ていきましょう。
右図は、血液循環について簡単に描いています。真ん中のハートが心臓とすると心臓がポンプで赤線が動脈、そして、青線が静脈になります。動脈と静脈の間にある毛細血管で酸素と二酸化炭素、栄養素と老廃物が交換されます。
静脈血は肺まで運ばれて、二酸化炭素と酸素が交換され心臓にかえり、酸素が豊富な血液が心臓のポンプ作用で全身に送り出されます。
身体の組織が酸欠になり、老廃物が溜まると調子が悪くなるのは誰でもなんとなく分かりますよね。あまり難しい生理学的な説明は、ここではしませんが血行が悪いと調子が良くないということは一般的ですね。
血行が悪くなり、身体の組織が部分的に酸欠や老廃物が滞る原因にはいろいろありますが、筋膜の歪みもひとつと言えます。
筋膜とは、筋線維を包んでいるネット状の膜で、一つ一つの筋肉全体も筋膜に包まれています。身体を動かしているのは筋肉なので、その筋肉が緊張して硬くなってしまった状態では、血管を圧迫して血行を悪くしてしまう場合があります。
筋膜のはららきについてのページで説明しましたが、筋膜は身体の部分間の仕切りのはたらきも行っています。簡単に説明すると胸部と腹部の間にある横隔膜はパーテーションのようなはたらきをします。
横隔膜には、大動脈裂孔・食道裂孔・静脈裂孔の3つの孔が空いており、通路のはたらきもしております。
横隔膜は筋肉でもあり、大きな筋膜でもあるので分かりやすいと思いますが、身体の他の部分にある筋膜も仕切りや通路としてのはたらきをしています。
右のイラストは、血管が通る筋膜が緊張して血行を悪くしている様子を簡単にイメージしやすいように描いてみました。
晴れの日に車を洗っていたとして、誰かが水道のホースを踏んでいると水の流れが悪くなってしまいますよね。
筋膜リリースでは、身体の歪みの元になる筋膜の短縮やねじれをリリースして歪みを整えますが、水道のホースを踏んでいる誰か?=血行を悪くする原因になる緊張して短縮した筋肉・筋膜にもテクニックを行います。
身体に歪みがあると血行も悪くなっていますが、歪みが目立たなくても隠れた部分で緊張している筋肉・筋膜がむくみや冷えの原因になっている場合がよくあります。
隠れて緊張している深部の筋肉・筋膜は、自分で運動やストレッチをしてもなかなかほぐれなくて伸びずに残ってしまい、違和感の元になっている場合があります。
自分の身体に意識をもっていき、カラダの声を聞こえるようになると隠れたコリが見つかるときがあるので、探してみるのも楽しいかもしれません。
*緊張していた筋肉・筋膜がゆるむと老廃物が流れ出し、一時的に身体がだるくなるときがあります。