頭の重さと猫背について
一般的に猫背の問題は、気になる不良姿勢の中でも上位にはいると思います。健康に問題がなければ、猫背でも困ることはないと思いますが、頭の位置が前にいき背中が丸くなると慢性的な肩こりや首こりを強く感じてしまう人もいます。
そこで、カラダの歪みと猫背の関係を筋肉・筋膜の緊張を通して考えてみました。
猫背の問題を扱う場合には、普通は背骨を主体にして説明を行うことが多いのですが人体の構造を全体的にみた場合に、肩や首、腕回りの筋肉の量が多いので筋肉・筋膜の緊張や短縮によって起こる猫背について簡単に説明をいたします。
このページのタイトルにもあるように猫背の人の場合、頭の重さが頭部の位置が前に行くほど、首肩の筋肉が伸展してしまい、筋肉に不必要な緊張が掛かってしまいます。
左図を見ると姿勢の良い左側の人よりも、猫背の右側の人の方が頭の位置が前に出ています。
重力のラインは、中心線よりもカラダの前に来ていて、その結果、背中がカーブを描いたようになっています。
耳と肩の位置が揃っていると頭の重さも中心線に収まり、カラダの前後の筋緊張のバランスも安定します。
ところが猫背の人の場合は、頭が前に出た分、背中側の筋肉に余計な力が掛かってしまいます。
中途半端な緊張状態が続くと、バランスを取るために無意識に首の筋肉が緊張して短縮状態になってしま
います。そして、筋肉を包む筋膜まで短縮すると歪みが癖になってしまいます。
次に猫背の人の場合、頭の位置と共に重要なのは肩と腕の位置になります。
左図を見ると、右側の人の肩と腕の位置が中心線より前側に出ています。その結果として、両方の肩甲骨も開いてしまいます。*上部から見たと仮定して
頭の位置が前に出て、肩と腕の位置も前方にいき肩甲骨の間が開いてくると背骨が丸まって、猫背の出来上がりですね。
背中が丸くなると背筋がピンっとしている状態よりも圧縮した分、身長も低くなってしまいます。たまに、筋膜リリースを受けて身長が少し高くなる人がいますが、背が伸びるというよりも、不良姿勢が改善した結果として短縮した状態が本来の身長に戻るだけです。
自分で出来る猫背の改善方法としては、頭の位置を真っすぐに保つような姿勢に意識的に注意することです。頭の重さでバランスを取ると考えるより、頭の上に水瓶でも乗っているような感じで頭と首の位置を整えた方がうまくいくと思います。
そして、耳の位置を肩のラインに意識的に揃えると良いのですが、先ほど説明したように肩や腕が前方に位置している人の場合は、前寄りに揃ってしまいます。
そのような場合は、まずカラダの全面のストレッチを行って、肩と腕の位置がカラダの横に落ち着いてから、耳と肩のラインを揃えましょう。
背中にクッションなどを入れて、両腕を広げた姿勢で腕の付け根から胸部にかけての筋肉と筋膜を伸ばします。
ムリのないように楽な呼吸で狭くなった、肋骨の間が広がるように、3~5分間ぐらい行ってください。
一日に何回か行うことで、縮こまった筋膜がリリースされて背骨にも弾力が回復してくると、姿勢も良くなってきます。
上図では、バンザイをしているように腕の位置が描かれてますが、カラダから45度開いた位置から腕を90度、そして頭上に上げた位置までの間で、一番楽に感じるところで腕を広げて伸ばし、少しづつ腕が上がる位置まで動かして行った方が筋・筋膜の緊張は緩みます。
始めから窮屈なポーズで行っても、カラダがリラックスしないと筋・筋膜のリリースが起こりづらいからです。