筋膜リリース鍼治療について
筋膜リリースというのは、手指で行う筋膜をリリースするテクニックなのですが手技療法以外に鍼治療で使う鍼を使った筋膜リリースを紹介しようと思います。
筋膜リリースと鍼治療では関係ないような感じですが、下記に紹介している洋書の副題はオステオパシー鍼治療とあり、鍼を使った筋膜リリースと紹介されてます。
内容を簡単に説明すると身体の後側と横側と前側にある筋膜ゾーンのトリガーポイントに鍼治療を行い、筋膜をリリースして痛みなどの症状を改善するということです。
1993年初版なのでちょっと古い本ですが題名は、新アメリカ式鍼治療となってます。
これから、説明する筋膜リリース鍼治療は上記の本の内容とは違い、一般の人に鍼で筋膜の癒着をリリースすることをイメージしやすいようにイラストを描きました。
筋膜が癒着するとどのようなことが起きるのかというと、身体の動きが悪くなり、痛みや違和感などが発生してしまいます。
あまり専門的に説明しても分かりづらくなるので、筋膜の癒着をリリースすることについて説明していきます。
右図は、筋膜が癒着して伸展が制限された状態を描いてます。
他のページでも説明していますが、コラーゲン線維に交差結合が発生すると身体の伸びる動きに制限がかかってしまいます。
例えて言うと、きつい服を着ていて服のどこかをつままれていると動きづらくなるのと同じです。重ね着をして重なっている服が引っかかっていても動きづらいですね。
身体は動きづらいのをそのままにしておくと、その部分の代謝が悪くなり、発痛物質が発生していまいます。
筋膜リリース鍼治療では、筋膜が癒着して動きが悪くなっている部分に鍼を刺して癒着をリリースします。
左図を見ると分かりやすいかなと思いますが、緊張した筋肉を包んでいる筋膜の動きを悪くしている部分に鍼を並べて刺すと、その部分の緊張が緩和して代謝が良くなります。
代謝が良くなると発痛物質が吸収されるので、痛みも緩和されます。鍼を抜いた後には、その部分のコラーゲン線維の再生が起きて動きづらさもなくなっていきます。
では、なぜ手技による筋膜リリースではなく、鍼を使って筋膜の癒着をリリースするのかというと、鍼を使った方が慢性症状で痛みがある場合に効果があるからです。
慢性症状の人は、筋膜の癒着も古くなり硬くなっているので、鍼を刺してその部分の代謝を良くして、自然治癒力を高めコラーゲン線維の再生を促します。
身体の筋膜は何層にもなっているので、深部の筋膜をリリースするのには鍼を使った方が、治療回数も少なくてすみます。
手技による筋膜リリースは身体の歪みを直すのに効果があり、鍼による筋膜リリースは深部の緊張と痛みを緩和するのに効果があります。