身体の歪みを整える、筋膜の調整について
身体の歪みと筋肉・筋膜の関係については、他のページで説明しているので、このページでは、筋膜リリースのテクニックを使い、身体の歪みを調整するときに役に立つと思うことを簡単に説明します。
骨格の調整の場合には、骨と骨をつないでいる関節の歪みに焦点を合わせて行えますが、筋膜の調整の場合はどこに焦点をしたらよいのか分かりづらいと思います。
アメリカのセミナーでは、立位での身体の歪みを視診によって分析して、緊張がある筋肉や軟部組織を触診して筋膜の短縮部位を特定してから、筋膜リリースのテクニックを行うように講習しています。
ここでは、身体の歪みの元になっている、筋膜の調整をするときにどのような見方、考え方で行ったらよいか考えてみました。人間が4つ足から進化して、2本足になったとは考えづらいのですが、身体の歪みについてシンプルに考えるのには都合がよいと思います。
操体法の本では、動く建物として4つ足の家と猫?が合わさったような図が載っています。背骨を家の梁(はり)に例えて、歪みと神経伝達の様子を表して?います。
ここでは、簡単に四つん這いになったと仮定した図を描いてみました。
筋膜のことについて考えているので、シンプルにイメージするために4本足の台にテーブルクロスをかけたとしましょう。四隅の一カ所でも布が弛むと、全体的にシワがよりますよね。
筋膜とは、コラーゲン線維と弾性線維が合わさってできたネット状のシートのようなもので、身体の内側を包んでいます。身体の内側がネット状のテーブルクロスで覆われているとしましょう。
4つ足から進化した人間は、あまり歩かなくなりデスクワークが多くなりました。後足より前足の方が狭い範囲でよく使うようになり、首肩のコリや腰痛になる人が増えたと思います。
ここで、もう一度、テーブルクロスの弛みや歪みを考えてみましょう。身体の四隅として考えられるのは、腕肩と大腿部になると思いますが、細かいことを言うと上肢帯と下肢帯の歪みが重要になります。
上肢帯とは、上腕骨と関節を作る鎖骨と肩甲骨がある部分で、ちょうど肩周りの部分と考えてよいと思います。そして、下肢帯とは大腿骨が付着する骨盤の左右の腸骨、恥骨、坐骨の部分になります。
右図を見ると身体の四隅の部分になることが分かると思います。四隅でも身体には厚みがあるので、実際に筋膜リリースで調整するときは、前面、後面、左右側面を考えてから、ねじれなども考慮してテクニックを行います。
ここでは、説明しませんが四隅にある筋肉の起始・停止と作用などもわかっていないと筋膜リリースでの調整の効果を出すことができません。
一つ一つの筋肉も筋膜で包まれているので、表層の筋膜だけを調整しても、深層の筋・筋膜に短縮があると歪みが整って形が良くはならないのです。
右図の胴体部分が赤いラインの箱状になっているので、四隅を整えると見栄えが良くなるということは分かり易いかな?と思います。
胴体に付いている腕や足や首などの歪みも整えないと全体的には良くはないのですが、根元の部分の調整だけでだいぶ効果が現れます。身体の歪みの筋膜の調整は、ケースバイケースになるので大きな歪みを整えてから、小さな歪みを整えた方が始めはやりやすいと思います。
臨床的には、脊椎の可動性を調整するのにマッスルエナジーテクニックや関節モビライゼーションなどを必要に応じて行う場合もあります。
*上記の説明は、当院のセミナー受講者に対して、補足説明のために作成しました。